京都地方裁判所 平成2年(ワ)2779号 判決 1995年1月24日
原告
熊橋健蔵
被告
平良勝信
ほか二名
主文
一 被告平良勝信及び同長田勇は、原告に対し、各自金一六〇二万六〇〇一円及びこれに対する昭和六二年二月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告の被告平良勝信及び同長田勇に対するその余の請求並びに被告オカガミ株式会社に対する請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用は、これを五分し、その二を被告平良勝信及び同長田勇の、その余を原告の負担とする。
四 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一原告の請求
被告らは、原告に対し、各自金四一〇三万八九六三円及びこれに対する昭和六二年二月一七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
本件は、追突事故により傷害を負つた普通貨物自動車の運転者が、相手方大型貨物自動車の運転者に対し民法七〇九条に基づき、同人の使用者に対し民法七一五条に基づき、車両の保有者に対し自賠法三条に基づき、損害賠償を請求した事件である。
一 争いのない事実
1 交通事故の発生(以下「本件事故」という。)
(一) 日時 昭和六二年二月一七日午後三時五五分ころ
(二) 場所 京都府相楽郡加茂町大字岡崎小字出羽一一番地先路上
(三) 加害車両 被告平良勝信(以下「被告平良」という。)が運転していた大型貨物自動車(京一一や五四三八、以下「被告車」という。)
(四) 被害車両 原告が運転していた普通貨物自動車(京四四ら九四二五、以下「原告車」という。)
(五) 事故態様 原告車が赤信号停止中に被告車が追突した。
2 被告らの責任
本件事故は、被告平良の前万不注視の過失により発生したものであり、同被告には原告の損害を賠償する責任がある。
被告長田勇(以下「被告長田」という。)は、被告平良の使用者であるから、民法七一五条により、原告の損害を賠償する責任がある。
3 原告の傷害及び治療経過
原告は、本件事故により、頸椎捻挫等の傷害を負い、昭和六二年二月一七日から平成元年七月一〇日まで宇治徳州会病院等に入院(合計一一六日間)及び通院して治療を受けた。
二 争点
1 被告オカガミ株式会社の責任
原告は、被告オカガミ株式会社が被告車の保有者であつたと主張しているのに対し、被告らは、被告車の所有者は被告長田であり、被告オカガミ株式会社は単に同車の自動車検査証上の使用者名義人であつたにすぎないから自賠法三条の運行供用者責任は負わないと主張している。
2 原告の後遺障害の程度及び本件事故との相当因果関係
原告は、本件事故により、言語障害、左上肢及び両下肢のしびれ等の後遺障害が残つたものであり、軽易な労務以外の労務に服することができないから、右後遺障害は自賠法施行令二条別表第七級第四号に該当すると主張している。
これに対し、被告らは、原告の言語障害は、本件事故の態様、発症時期及び経過等から判断して、本件事故と相当因果関係がなく、原告の左上肢及び両下肢のしびれ等の後遺障害については自賠法施行令二条別表第一四級第一〇号にとどまると主張している。
3 損害額
4 過失相殺
被告らは、原告の現在の症状について本件事故と相当因果関係が認められるとしても、原告には脊椎管狭窄症等の既往症が存在したことや心因性の面が強いことから判断して、公平な損害の分担の見地から相当額の減額をすべきであると主張している。
これに対し、原告は、原告に被告ら指摘のような既往症があつたとしても本件事故前は何ら症状はなかつたし、また、既往症の存在や心因性を理由として割合的確定による賠償額の減額を行うべきではないと主張している。
第三争点に対する判断
一 被告オカガミ株式会社の責任について
原告は、被告オカガミ株式会社が被告車の保有者であつたと主張しているけれども、証拠(乙二、四)及び弁論の全趣旨を総合すると、被告車の所有者は被告長田であり、被告オカガミ株式会社は単に同車の自動車検査証上の使用者名義人であつたにすぎないと認められるから、被告オカガミ株式会社には自賠法三条の運行供用者責任は認められない。
二 原告の後遣障害の程度及び本件事故との相当因果関係
1 証拠(甲五~九、四三、四九、五〇、乙一~五、七~一六、鑑定、原告本人)によると、以下の事実が認められる。
(一) 本件事故当時、本件事故現場付近の天候は雨で、路面は湿潤していた。
被告平良は、被告車(最大積載量一〇トン、車両総重量一九・八〇五トンの大型貨物自動車)を運転し、時速約五〇キロメートルの速度で進行して、本件事故現場にさしかかつた。原告は、原告車(最大積載量四〇〇kg、車両総重量一五九〇kgの普通貨物自動車)を運転し、本件事故現場にさしかかつたところ、進路前方信号が赤色になつたため、交差点手前でフツトブレーキを踏んで停止した。
被告平良は、原告車の後方を進行していたが、進路前方信号に気をとられ、原告車が停止したことに気付かず原告車の後方約二四・七メートルの地点で初めて原告車が停止しているのを認め、衝突の危険を感じて急ブレーキをかけたが、間に合わず、原告車後部に衝突した。衝突の衝撃で原告車は約一二・四メートル押し出されて停止した。
本件事故後、本件事故現場には、被告車のタイヤによる左右とも約一八メートルの制動痕が残されていた。また、原告車は、本件事故により、車両後部バンパー及びボデイーが損傷し、その修理費用は一六万九九〇〇円であつた。
(二) 原告は、本件事故により、その場で嘔吐するなどしたため、救急車で山城病院に運ばれた。原告は、同病院において、頭痛、頸部痛、両眼痛、腰痛を訴え、また、両前腕に知覚鈍麻を認めたが、頭部CT検査では異常はなかつた。
原告は、二、三日はさほど症状は悪くならず、会社にも出勤していたが、手足のしびれや脱力感が強くなつたため、昭和六二年二月二〇日、宇治川病院に入院した。同病院では、頸時不全損傷等と診断され、約一か月間ベツドで安静にして治療を受け、同年三月二三日からは歩行訓練のリハビリを開始した。
同年四月三〇日から、原告は宇治徳州会病院に転院して治療を受け、手足のしびれは改善したが、しびれが残つたまま同年六月一五日に退院し、その後は鍼治療等通院して治療を続けた。
(三) 昭和六三年三月ころから、原告は就労訓練ということで、会社での勤務をある程度再開した。
同年四月ころから、原告は喋つている時に舌のもつれを感じるようになつた。
同年六月から同年一〇月にかけて、原告は京都府立医科大学付属病院(以下「府立医大病院」という。)においても診察を受けた。
平成元年二月一日、原告は初めて宇治徳州会病院の医師に喋りにくいことを訴えた。
同年四月から平成二年二月にかけて、原告は宇治徳州会病院と並行して府立医大病院にも通院して治療を受けた。このころから、言語障害の症状が著しくなつてきた。
平成元年七月一〇日、原告は宇治徳州会病院で症状固定と診断された。
(四) 原告は、その後も宇治徳州会病院において、従前と同様の理学療法を中心とする治療を続けていたが、平成二年一月から京都労災診療所へ、同年二月からは京都府立心身障害者福祉センター(以下「センター病院」という。)へ通院して治療を受けた。
同年一月末で、原告は、勤務が困難であるため、会社を退職した。
同年三月二八日、センター病院における脳波検査の結果異常が認められ、これを知らされた原告は、歩行訓練中に目の前が真つ暗になつたり雲の上を歩いているような感じになることが月に四~五回あつたことを訴え、その後もこのような発作を時々訴えるようになつた。
(五) 宇治徳州会病院の松岡敬祐医師(以下「松岡医師」という。)による後遣障害診断(甲一〇、五〇、乙一二中の平成元年一〇月八日付意見書)によると、まず、自覚症状として、左第三~五指の知覚運動障害(不全麻痺、残存能力は約三〇%)、左肩から左上肢の脱力感としびれ感、左頬~下顎~下口唇及び両下腿~足のしびれ感、左項部~左後頸部~肩のこりと痛み、構語障害(話していると呂律がまわらなくなり休むと回復するが長く話すことができない(体調良好の場合でも五分間以上継続して話すことが困難)。)がある。また、他覚症状及び検査結果としては、頸椎X線写真(昭和六二年四月及び平成元年六月)において、第四~六頸椎中心に変形性頸椎症を認め、脊椎管前後径は一五mm程と正常下限に近く、頸椎の前後屈では一二~三mmと著明に挟くなつており、また、頸髄MRI検査(昭和六二年六月)結果によると変形性頸椎症と椎間板ヘルニアの疑いがある。また、左握力はうまく測定できない程度まで低下している(右四〇・五kg)。
そして、松岡医師は、受傷の機転として、もともと脊椎管が狭く変形性頸椎症により柔軟性が低下していたところへ、本件追突事故により頸椎の過伸展過屈曲損傷を受傷し、直後は頸髄の損傷はなかつたものの外傷に伴う出血等により、三日目に脊髄及び神経根の圧迫障害、四肢麻痺が出現したものと思われるとしている。また、脳波の異常や構語障害については、上部頸髄神経は後頭部や下顎部の知覚、首やのどの周囲の筋肉等の運動にも関係しているので、脳幹部等の異常がない場合でも上部頸髄神経の障害により脳波の異常としてとらえられたり、喋りにくさが起こつてもよいのではないかと考えるとしている。
(六) 府立医大病院において、平成元年四月二二日、第一内科山口医師は、原告の言語障害は転換反応によるものの様であると診断し、同年六月一〇日、神経内科医師は、原告の構音障害は精神的なものと診断した。
宇治徳州会病院において、平成二年五月二四日、脳科(?)の医師は、原告の言語障害について頸髄、頸椎の損傷による構語、構音障害とは考えにくく、心因性要因が大きいと思われると診断した。
センター病院において、平成二年三月に実施された心理検査の結果、<1>原告は仕事に生きがいをもつており、現在の仕事の出来ない状態は原告にとつて疾病利得とはなり得ず、構音障害を含め現在の身体疾患の源は器質的なものと思われる、<2>原告の性格傾向として、何らかの不安や葛藤を不安や葛藤として感じるよりはむしろ身体化してしまう傾向が認められることから、本人自身自己の疾患を実際よりも重く感じ、大げさに表現することはあると診断された。
平成三年二月二〇日、労災保険審査官により、原告には、頸部・腰部・左上肢疼痛、両下肢のしびれ感、言語の不自由さ等の神経系統の後遺障害があり、障害等級第七級の三(神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの)に該当すると判断された。
(七) 当裁判所の鑑定の結果によると、現在原告には、難発性の吃(発語開始に時間がかかる。麻痺などによる運動性構音障害等のはつきりした異常は認められない。)、左上肢の運動知覚障害、両下肢の深部知覚障害、左副神経障害、左三叉神経脊髄路核の障害等の障害が残存している。そして、難発性の吃については、<1>成人になつて発症する吃は機能的疾患としては非常に稀であり、脳障害(頭部外傷、脳卒中)に起因していることが多いこと、<2>最近器質的疾患として脊髄や延髄障害でも吃が起こるとの報告があること、<3>原告については、MRI検査で頭蓋頸椎移行部の脳幹障害(すなわち延髄内にT2強調画像で高信号域を示す病変)が認められ、またこれに応じて下位脳神経である副神経の症状や三叉神経脊髄路核の症状が認められたこと、X線検査及びMBI検査で脊椎管狭窄症に椎間板ヘルニアが合併していることが認められたことから判断して、脊椎管狭窄症に椎間板ヘルニアが合併している状態で追突による頸髄損傷を受けたため左上肢の運動知覚障害や両下肢の深部知覚障害が起こつたものと考えられ、したがつて、難発性の吃についても延髄や脊髄の障害によると判断するのが最も妥当であるとしている。
なお、脳波異常ないしテンカン様発作については脳波検査では明らかな異常所見が得られず、抗痙攣剤を服用していることでもあり事件事故との関連は判断できないが、延髄や脊髄の障害によると判断するのが妥当であるとしている。
2 以上の事実等に基づいて、まず、原告の現在の症状と本件事故との相当因果関係について検討するに、前示1(五)及び(七)のとおり、原告を最も長期間診察し治療に当たつてきた宇治徳州会病院の松岡医師と当裁判所の鑑定人のいずれもが、言語障害も含め原告の現在の症状は、脊椎管狭窄症、変形性脊椎症、椎間板ヘルニアといつた症状が存在したところへ本件追突事故による衝撃が加わつて損傷した頸髄等の障害に起因していると判断しており、原告の現在の症状と本件事故とは相当因果関係かあると認めるのが相当である。
被告らは、本件事故は軽微とはいえないにしても少なくともそれによつて原告の頭部や頸部に強度の衝撃を与え脊髄損傷や脳幹の障害をもたらすようなものとは考えにくいと主張しているけれども、本件事故の態様は前示1(一)のとおりであり、被告らも認めるように本件事故により原告の受けた衝撃は相当程度のものであつたと考えられ、原告に脊椎管狭窄症等の既往症があつたことも頸髄等損傷の一因であつたとしても、本件事故以前は特に頸部等に神経症状はなかつたことなどを考え併せると、本件事故により頸髄等損傷が発生したもの(すなわち相当因果関係がある)と認めるのが相当であり、被告らの主張は採用できない。また、被告らは、府立医大病院医師等の診断を指摘して原告の症状は心因性のものであると主張しているけれども、前示1(六)にあるような心因性との診断にはいずれも当裁判所の鑑定人らが判断の根拠とする脳波異常や脊椎管狭窄症等の所見に対する説明がなく、鑑定人らの判断を翻すには不十分であり、この点に関する被告らの主張も採用できない。
3 そこで、進んで、原告の後遺障害の程度について検討するに、前示のとおり、原告には、言語障害(難発性の吃)、左上肢及び両下肢の知覚障害、左握力の低下等の後遺障害が残つたものであるか、言語障害は他人との意思疎通にかなりの支障がある程度のものであること、原告は昭和六三年三月ころから従前の仕事に復帰して就労訓練を行つたが結局仕事を続けるのが困難となり平成二年一月末には退職していること、労災保険では第七級相当と判断されていることなどの事情を総合して判断すると、その労働能力は一般平均人以下に明らかに低下(一般平均人の二分の一程度に低下)しており、軽易な労務以外の労務に服することができないものと考えられ、自賠法施行令二条別表第七級第四号に該当する後遺障害であると認めるのが相当である。
三 損害額
1 治療費(請求同額) 九万一一〇五円
証拠(甲四〇、四一、五一~五六)により、認められる。
2 入院雑費(請求同額) 一五万〇八〇〇円
原告は、本件事故による傷害の治療のため、宇治川病院及び宇治徳州会病院に合計一一六日間入院したものであるところ、入院雑費は一日一三〇〇円と認めるのが相当であるから、右金額となる。
3 通院交通費(請求同額) 八万〇八〇〇円
原告本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によると、京都府立医大病院への通院交通費が二万二四〇〇円、京都府立城陽心身障害者福祉センターへの通院交通費が四万円、京都労災診療所への通院交通費が一万八四〇〇円かかつたことが認められる。
4 文書料(請求同額) 一万九八六〇円
証拠(甲五七~六一)により認められる。
5 休業損害(請求額九七二万七六七五円) 九八三万三〇七五円
証拠(甲一三~二八、四四、原告本人)によると、原告は、本件事故当時関西化研工業近畿株式会社に営業社員として勤務し、一日平均一万二五七七円の収入を得ていたこと、本件事故による傷害のため、症状固定した平成元年七月一〇日まで八七五日間休業せざるを得なかつたこと、その間一部就労訓練したことにより同社から合計一一七万一八〇〇円支給されたことの各事実が認められる。したがつて、本件事故による休業損害は、右金額となる。
12,577×875-1,171,800=9,833,075
6 後遺障害逸失利益(請求額二五二四万七四八三円) 二〇八六万〇一一九円
前示二3のとおり、本件事故により、原告には、言語障害、左上肢及び両下肢の知覚障害等自賠法施行令二条別表第七級相当の後遺障害が残つたことが認められ、また、原告は本件事故当時満五一歳、症状固定時満五四歳であつたから、症状固定後一三年間にわたり、その労働能力の五六パーセントを制限されたものと認めるのが相当である。そして、証拠(甲四四)によると、原告の本件事故当時の年収は四五九万〇五七四円であつたと認められるから、これを基礎とし、ライプニツツ方式により年五分の中間利息を控除して、逸失利益を算定すると、右金額となる(円未満切捨)。
4,590,574×0.56×(10.8377-2.7232)=20,860,119
7 慰謝料(請求額一二五〇万円) 一〇〇〇万円
本件事故による原告の傷害の内容及び程度、治療の内容及び期間、後遺障害の内容及び程度等本件審理に現れた一切の事情を総合して判断すると、原告の精神的損害に対する慰謝料としては、一〇〇〇万円が相当である。
8 以上を合計すると、四一〇三万五七五九円となる。
四 過失相殺
1 前示二2のとおり、原告の言語障害、左上肢及び両足の知覚障害等の症状は、本件事故前から原告には脊椎管狭窄症、変形性脊椎症、椎間板ヘルニアといつた症状が存在したところへ本件追突事故による衝撃が加わつて損傷した頸髄等の障害に起因していると考えられ、本件事故による衝撃が相当程度のものであつたとしても原告の症状発現には右既往症の存在が相当程度寄与したことは否定できない。
また、原告の症状のうち最も問題となる言語障害の症状は、前示二1(三)のとおり本件事故から一年以上経過した後(原告本人の供述でも一年二か月後、医師に訴えたのは約二年後である。)に発現してきたものであること、前示二1(六)のとおり数人の医師が診察、検査等を経て言語障害は心因性であるとの診断をしており(前示二2のとおり器質的原因によることを左右するには至らないが、心因的要因の影響をうかがわせる事実であることは否定できない。)、また心因的要因の影響をうかがわせる心理検査結果も出ていること、さらには原告は脳波異常の検査結果を告げられた後てんかん様発作の発想をしばしば医師に訴えるようになつていることなどの事実を総合して判断すると、原告の症状(特に言語障害)の主たる原因が本件事故による頸髄損傷ではあるものの、原告自身の心因的要因が症状の発現、増悪に影響しているものと認めざるを得ない。
2 これら原告の症状に対する原告側の要因を考慮すると、損害の公平な分担の見地からは、被告平良及び同長田に原告の損害の全てを賠償させることは相当ではなく、過失相殺の法理を類推適用して、原告の損害額から二割を減額するのが相当と判断する。
したがつて、原告が右被告らに請求できる金額は、三二八二万八六〇七円となる。
五 損害の填補
原告が、被告加入の自動車保険、労災保険等から、本件事故の損害賠償として、すでに合計一八三〇万二六〇六円を受領していることは、当事者間に争いがないから、これを控除すると、一四五二万六〇〇一円となる。
六 弁護士費用
事件事故と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額は、一五〇万円と認めるのが相当である。
七 結論
以上を合計すると、一六〇二万六〇〇一円となる。
(裁判官 岡健太郎)